感性医療

2022.01.29

父親との別れ

2021.6.18の日記です。

【父親との別れ】
本日の19時に青森の父親が旅立ちました。
父親は私が医学生の頃に脳梗塞で倒れ、糖尿病、腎不全とともに生きてきました。
 
不器用な人でした。
愛情表現が下手で、子供達がなつかず、家の中でも一人でいる事が多い人でした。

見栄っ張りな人でした。
高校の時に柔道の試合後にジュースが飲みたいと言ったら、みんなの前で一万円札を渡してきました。

口下手な人でした。
説明も下手で、何を言ってるのかわからない人でした。私と2人でいても、2人とも口下手なのでいつも沈黙ばかりでした。

一緒にいて恥ずかしい人でした。
貧しい田舎の大家族の末っ子で、行きたい大学にも行かせてもらえなかったので、私が医学部に合格した時は、よほど嬉しかったのか周りの人に自慢話を繰り返すので嫌でした。

でも、大好きでした。
夜中に帰ってきた車の音が、どれほど子供心に嬉しかったでしょう。兄が川に滑り落ちた時に、迷う事なく川に飛び込んだ姿も忘れません。

先日、岡部明美さん(明美ちゃん)のカウンセリングで「まーくんのメンターは誰?」と聞かれたとき、頭の中に立派な教授や、著名人などが浮かびましたが、意外なことに口にでてきたのは「父親」という言葉でした。どんなに不器用でも、やはり父親なのですね。

小林家は愛情表現が下手な家族なので、子供も親も愛情を渇望しながらすれ違い続け、最後まで縦と横の糸は交わることはありませんでした。

父親が旅立った報告を聞いた時は、よく持ったな、苦しまずに行けてよかったな、冷静に反応していましたが、この記事を書いているうちに、帰りの電車で涙が止まらなくなり、本当は寂しんだ、悲しいんだ、とようやく本当の素直な自分に繋がる事ができました。

明日、息子の誠弥と青森の父親と最後の別れをしてきます。子供達3人をしっかりと大学まで行かせてくれてありがとうございました。本当に感謝しているよ。お陰様で医者になって、患者さんに寄り添っていくことができます。
また向こうの世界で会いましょう。

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